ラインの黄金

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FEB 2026 Next

 

ラインの黄金 – リヒャルト・ワーグナー | オペラ
言語:ドイツ語、チェコ語と英語の字幕付き

 

壮大な四部作『ニーベルングの指環』は、オペラ史上の重要な作品の一つに数えられます。リヒャルト・ワーグナーは、中世のゲルマン英雄伝説や北欧のサガに基づき、冒険に満ちたファンタジー物語、あるいは現代風に言えばスリリングなサスペンスドラマとして壮大な音楽劇を創り上げました。プロローグの『ラインの黄金』は、四部作の中で最も短く(約2時間20分)、物語はライン川の底から始まります。三人のラインの乙女(水の精)が神聖な黄金を守っています。ニーベルングの小人アルベリヒはその黄金を奪い、持ち主に世界を支配する力を与える魔法の指輪を作り上げます。そのため、神々の王ヴォータンを含む多くの神話上の人物がその指輪を求めるのは当然のことです。火の半神ロゲの助けを借りてヴォータンが指輪を手に入れた際、アルベリヒはその指輪に呪いをかけます。続く四部作の各篇(『ワルキューレ』『ジークフリート』『神々の黄昏』)では、その呪いが三世代にわたる神々、半神、人間の運命に影響を与えます。音楽的には、『ニーベルングの指環』は特定の登場人物や行動に結びついたライトモティーフで繋がれています。

 

『ラインの黄金』は1869年9月22日にミュンヘンで世界初演されました。チェコでの初演は1885年12月19日、プラハの諸侯劇場にて当時25歳のグスタフ・マーラー指揮で行われました。全サイクルは1923年と1924年にプラハの新ドイツ劇場(現国立歌劇場)で初めて上演され、オペラ団長アレクサンダー・ツェムリンスキーが指揮し、ドイツ人演出家フランツ・ルートヴィヒ・ヘルトが演出、ブルノ出身の著名な建築家エミール・ピルハンが舞台美術を手掛けました。

 

2025年から2028年にかけて、プラハ国立劇場オペラ音楽監督ロベルト・インドラ指揮のもと、複数のプロジェクトで共に仕事をしてきたスロバキアの芸術家、演出家スラヴァ・ダウブネロヴァと舞台美術家ボリス・クドリチカが参加し、全サイクルの新制作が行われます。

 

 

構成

 

第1場 ラインの河底

舞台はライン川の河底。ニーベルング族のアルベリヒは3人のラインの乙女たちに言い寄るが、乙女たちは彼を嘲弄する。憤るアルベリヒは河の底に眠る黄金を見つける。黄金の守護者でもあるラインの乙女たちから、愛を断念する者だけが黄金を手にし、無限の権力を得て世界を支配する指環を造ることができると聞かされたアルベリヒは、禁欲ならできるだろうと黄金を奪い、愛を呪う言葉を残して去る。

 

第2場 広々とした山の高み

ヴォータンは巨人族の兄弟ファーゾルトとファーフナーにライン河畔の山上に居城「ヴァルハラ」を造らせ完成させていた。兄弟へは報酬として女神フライアを与えるという契約になっていた。しかし、もともと約束を果たすつもりのないヴォータンは、この契約を勧めたローゲに考えがあるはずとして、ローゲに事態の収拾を図らせようとする。

ローゲはアルベリヒがラインの黄金を奪い去ったことをみなに話し、ラインの乙女たちが指環を取り戻してほしいと願っていることを伝える。ニーベルング族とは確執のある巨人たちは財宝の話に惹かれ、フライアの代わりの報酬にせよと言い出す。ヴォータンは自身が世界を支配する指環を得たいと望んだことからこの申し出を拒む。怒った巨人たちは、フライアを人質にして連れ去ってしまう。フライアの作る若返りのリンゴが食べられなくなった神々は、もともとリンゴを得られなかったローゲを除いて若さを失い始める。意を決したヴォータンは、ラインの黄金を手に入れるためにローゲを伴って地下に降りてゆく。

 

第3場 ニーベルハイム

地底のニーベルハイム。アルベリヒはラインの黄金を指環に矯め、その力でニーベルング族の王となって、弟のミーメも隷属させていた。ミーメは、アルベリヒの指示で造らされた魔法の隠れ頭巾[5]を密かに我が物にしようとするが、アルベリヒに見つかって奪われ、むち打たれる。

ヴォータンとローゲは嘆くミーメから事情を聞き出し、アルベリヒに近づく。アルベリヒは2人を警戒するが、次第にローゲの口車に乗せられ、おだてられて魔法の隠れ頭巾を使って恐ろしい大蛇に化ける。次に小さいものにも変身できるかと問われ、カエルの姿になってみせたところを捕らえられてしまう。ヴォータンとローゲはアルベリヒを縛り上げ、地上に拉致する。

 

第4場 第2場に同じ

再び山上の開けた台地。ヴォータンはアルベリヒに身代金を要求し、アルベリヒは仕方なくニーベルング族を使ってかき集めた財宝を差し出す。それでもアルベリヒは許されず、ローゲに魔法の隠れ頭巾を奪われ、ヴォータンからはラインの黄金を鍛えた指環を無理やり取り上げられてしまう。ようやく自由の身になったアルベリヒは、指環に死の呪いをかけて去る。しかし、念願の指環を手にしたヴォータンは意に介さない。

巨人族の兄弟がフライアを連れて現れ、フライアの身の丈と同じだけの財宝を要求する。ローゲとフローがニーベルング族の財宝を積み上げていく。ローゲが隠れ頭巾を差し出してもまだ足らず、巨人たちはヴォータンの指環を要求する。ヴォータンはこれを断固拒絶、指環はラインの乙女たちに還してやってはというローゲの申し出にも取り合わない。


このとき舞台は暗転し、岩の裂け目からエルダが登場する。エルダはヴォータンに、呪いを避けて指環を手放すよう警告し、世界の終末が迫っていると告げる。ヴォータンはようやく意を決して指環を巨人たちに渡し、フライアを解放させる。財宝をすべて手に入れた巨人の兄弟は、その取り分をめぐって争い始め、ファーフナーはファーゾルトを棍棒で打ち殺す。アルベリヒの呪いが早くも現れたことに衝撃を受けるヴォータン。

暗い空気を払うため、ドンナーがハンマーを振るって雲を呼び集め、雷を起こす。これより「ヴァルハラ城への神々の入城」の音楽。フローが神々の城に虹の橋を架ける。ヴォータンは城に「ヴァルハル」と名付ける。「剣の動機」がトランペットで現れ、英雄の登場を予告する[6]。虹の橋を渡って神々は入城してゆく。彼らに続いて入城しようとしたローゲは、神々の没落を見通し、炎となってすべてを焼き尽くしてしまおうと独白する。ラインの娘たちが嘆き、地上にあるのは偽りばかりという歌が谷底から聞こえてくる。ラインの娘は実際、舞台上には登場しない。「ヴァルハルの動機」や「虹の動機」による、壮大で圧倒的な音楽による幕切れ。

プログラムとキャスト

**指揮:**ロベルト・ジンドラ
**ヴォータン:**アダム・プラヘトカ
**ドンナー:**パヴォル・クバーニ
**フロー:**ヨゼフ・モラヴェツ
**ローゲ:**シュテファン・マルギタ
**フリッカ:**トーネ・クンメルヴォルド
**フライア:**アルジュベタ・ポラーチコヴァー
**エルダ:**ローズ・ナッガー=トランブレイ
**アルベリヒ:**ヨアヒム・ゴルツ
**ミーメ:**ヤロスラフ・ブジェジナ
**ファゾルト:**フランチシェク・ザフラドニーチェク
**ファフナー:**ズデニェク・プレフ
**ヴォーグリンデ:**ヤナ・シベラ
**ヴェルグンデ:**ミハエラ・ザイミ
**フロースヒルデ:**カテジナ・ヤロヴツォヴァー

 

**演出:**スラヴァ・ダウブネロヴァー
**美術:**ボリス・クドリチカ、ドロタ・カロルチャク
**衣装デザイン:**ドロタ・カロルチャク
**映像デザイン:**アンドレアス・ダイナート
**照明デザイン:**ローター・バウムガルテ
**ドラマトゥルク:**ゼバスティアン・フーバー

 

国立劇場管弦楽団
国立劇場オペラ・バレエ団

国民劇場 プラハ

国民劇場(こくみんげきじょう、チェコ語: Národní Divadlo)は、チェコの首都プラハにある劇場。チェコの歴史と芸術を代表する建築物である。

 

国民劇場は、音楽の盛んなチェコにおける最重要機関であり、チェコを代表する芸術家らによって創設、維持されてきた。この伝統により、チェコの言語、音楽、思想などが保存・発展してきたものである。

 

今日では、国民劇場はオペラ、バレエ、演劇を提供している。いずれも、著名なクラシックなどに限定せず、地域のものや現代のものも上演している。

 

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